福島家庭裁判所 昭和36年(家)1117号 審判 1961年7月06日
申立人 安原ハル(仮名)
遺言者 亡安原清作(仮名)
主文
本件申立を却下する。
理由
申立人の申立要旨は、遺贈の遺言につき遺言執行者の選任を求めるというのであるが、本件遺言は遺言者の署名の点については、自筆であろうが、本文は他人により代書されたものであることが、申立人に対する審問、その他書体により認められる。そうして遺言執行者の選任については、その基本である遺言書の有効無効を判定すべきでなく、従つて外形その他からして一応有効な遺言書であると思料され、且遺言執行の必要乃至便宜のある場合には遺言執行者選任の審判をすべきであるが、本件遺言書は、その外形その他から自筆にかかるものでなく、従つてその無効であることが容易に判定できるようなものであり、且その遺言の執行には必ずしも遺言執行者を必要としないので主文のとおり審判する。
(家事審判官 村崎満)